前回は既存住宅(古い家)について、固定資産税の決定方法を説明しましたね。今回は、新築住宅の固定資産税の計算方法について説明します。
要点のまとめ
・固定資産税を算出する際の基準となる再建築費評点数は、2011年比で16%ぐらい高くなっている。(補正率の累積値は14.6%高なのでとんとん)
・再建築費評点数は、総務省の固定資産評価基準「第2章家屋」に基づいて決まる。
今回の記事では、固定資産評価基準「第2章家屋」に従って、再建築費評点数を1項目ずつ計算してみます。
我が家は2011年築なので、当時の基準での計算結果と、現在の基準での計算結果とを比較してみます。
固定資産評価基準に従って住宅の部位毎に再建築費評点数を求める
再建築費評点数の算出根拠はおなじみのこちらです。
これから1項目ずつ詳細に見ていきましょう。
表の左側、中央に、水色文字で、2012年基準の評価額を記載し、
表の右側に、濃い青色文字で、2021年基準の評価額を記載しています。
表の左右を見比べると、評価額の変化が分かります。
・本来2011年築は2011年の基準表を用いるべきですが、諸事情により2012年の基準表を用います。
・2011年の基準表と2012年の基準表とでは大きな差異は生じていません。
屋根・基礎・外壁
まずは、屋根、基礎、外壁のページから。
屋根、基礎はすごく高くなってるね。
それだけ資材と人件費が高くなったってことだね。
基礎工事は重労働で、人手不足なので仕方ないよね。
ただ、屋根では、「建材型ソーラーパネル」は安くなってるね。太陽光パネルを載せる人は、10年前よりも固定資産税が安くなるね。
柱・壁・内壁仕上げ
次は、柱・壁・内壁のページ。
以前は柱が太いと評価が高かったけど、今はその基準が無くなっているようです。
このページ、高くなった項目と安くなった項目とが混ざっていてよく分からないわ。
確かにそうだね。小計では約10万円UP。以前と比較してそれほど変化がなかった項目なのかな。
天井・床・断熱材
次は、天井・床・断熱材
めちゃくちゃ高くなった項目
天井の仕上げがすごく高くなってるのね。
特に、クロス天井(天井の壁紙作業)が約75%UP。
壁紙職人さんは大儲け?!と思いきや、1つ前のページの壁の「クロス貼」は値段が約半額になってるね。
天井クロスの値上げ分が壁クロスの値下げで帳消しなのね。
壁紙職人さんも楽じゃないのね。
建具・配管・設備その1(ドアホン・エコキュートなど給湯器)
次は建具と設備
給湯器がすごく高くなってる!
給湯器は2020年に世界の工場が停止して品薄になったのが影響しているのかも。
設備その2(便器・洗面化粧台・ユニットバス)
続いて設備の続き。
我が家はトイレが2つなので、便器の固定資産税も2つ分。
ウォシュレットの有無、程度は固定資産税に影響しないようです。
ユニットバスの基準額は高くなってるけど、大きなバスルームの場合の係数が1.6→1.25に変更されているので、大きなバスルームの場合はお得になるのね。2012年基準よりも2021年基準のほうが安くなってます。
浴室乾燥機、シャワーブースなんかも、ちゃんと固定資産税が加算されます。
設備その3(キッチン・床暖房・換気装置・全館空調)
さらに設備の続き。
注目の、床暖房・換気装置・全館空調の固定資産税
全館床暖房と全館空調はかなりの高級品。固定資産税が高くなることには覚悟が必要です。
床暖房、全館空調は、温度を制御可能な床面積(対象床面積)が課税対象になります。
全館空調だとしても、トイレ、風呂、洗面所は空調の対象外という場合、この部分に誤った課税がされていないか確認しましょう。
床暖房の固定資産税、高い!
床暖房も、全館空調の場合も、温度の制御ができる床面積に対して課税されるのね。
我が家の場合、床面積の約80%が床暖房の面積に認定されているけど、もっと床暖房できる面積が狭い場合、証拠を揃えて申し立てをすれば、固定資産税を修正してくれるそうな。
ところで、ちょっと前まで、床暖房が温水式か、電気式(電熱線)かによって評価が違っていたんだけど、その区分は無くなってるね。
その他の工事・造作・床の間
ついに最終ページ。
このページはよく分かりません。
雑工事とか、造作とか、どんぶり勘定されているようで納得感が少ない項目が並んでいます。
2階建ての人は、ここで「階段」の値段が計上されます。
最終評価額
最終の固定資産税の基礎となる評価額は、2012年基準では約1,100万円、2021年基準では、約1,300万円。200万円ぐらい高くなりました。
2012年基準で評価額が約1,110万円の家は、
2021年基準で評価額が約1,300万円になるのね。
補正係数があるので何とも言えないけど、実際の評価額は1200万円を超えそうだね。補正係数を無視すると、2021年の固定資産税の評価額は、2012年比で、だいたい16%程度高くなってる。
我が家は不動産取得税の免除対象だったけど、現在の基準だと、我が家も不動産取得税の対象(評価額1,200万円以上、長期優良住宅での評価額1,300万円以上)になったかもね。
税金が高いのは嫌だけど、快適なおうちに住みたいわ。
評価額が求まれば、前回記事で紹介したように計算するだけ。
だいたい、この評価額×0.8程度×1.4%、が固定資産税の額になります。
家を建てたら固定資産税の評価を調べに役所に行くべき
当サイトでは再三述べているのですが、家を新築したときは、固定資産税がどのように評価されているか、ご自身の自治体の役所に問い合わせることをお勧めしています。
固定資産税の評価は、細かい作業の積み重ねで、かなり大変なことがご理解いただけたでしょう。
それだけにミスが多く、ミスのために多くの税金を払うことになると、損をするのはあなたです。
でも、調べに行くの面倒だし、役所の職員さんに嫌がられそうじゃない・・・
面倒だけど、一生に1回するだけでしょ。
役所に人が押しかけて大変だと思われれば、何か制度が変更になるでしょう。こちらは税金が正当に課税されているかを確認するだけだから、気にしなくてよろし。
役所に行かないまでも、固定資産評価基準を印刷して、自己評価してみるとよいと思います。
誤差が大きい場合に、そのときどうするか考えてもいいかも知れません。