太陽光発電で系統連系を保留するだので世間が騒がしくなってます。
しかし・・・
系統連系できても売電時の電圧上昇抑制(電圧抑制)のリスクは残る
これが今日のテーマ。
系統連系は、太陽光発電で得られた電力を売電するために送電線に流せるように接続すること。
電圧上昇抑制(電圧抑制)は、周囲の電圧が高くなり過ぎないようにするために、売電を抑制するパワーコンディショナー(パワコン)の機能。
送電線の電圧が高くなると電圧上昇抑制が発生します。
電圧上昇抑制されると電気を売れなくなるので大損害。
太陽光発電が増えてくると、この電圧上昇抑制が頻発すると予測します。
参考:電圧上昇抑制とは(関西電力)
http://www.kepco.co.jp/home/ryoukin/kaitori/images/syuturyokuyokusei.pdf
電圧上昇抑制が発生しやすい状況
家に供給されている電圧は、100Vと言われてますが、結構変動してます。
ICHIさんの昔の記事では、ICHIさんがコンセントの電圧を測っています。
【太陽光発電】売電電圧での損得【事前解説編】 – ICHIの水耕栽培 庭がなくても野菜作り トマト2株から8千個! – Yahoo!ブログ
単純に言うと、電圧は、使用電力が増える(または供給電力が減る)と下がります。
そして、電圧は、使用電力が減る(または供給電力が増える)と上がります。
この現象は、家庭内でみても、トランス単位でみても、近所の単位でみても、変電所単位でみても、同じことが起こります。
ただ、太陽光発電の売電をするときには、トランス単位よりも大きな単位で電気の使用状態を見る必要がありますね。
ってことを考慮すると、全国的に使用電力が増える、夏の昼間とか、冬の夕方とかは、基本的に電圧が下がるので、電圧上昇抑制はかかりにくくなります。
太陽光発電で困るのは、使用電力が少ない、春と秋
特に、5月ぐらいは天候、気温、日照の好条件が揃いやすく、発電量が最大になることが知られてます。
しかし、この時期は使用電力が少なく、電圧上昇抑制がかかりやすい時期でもあります。
みなさんも電気を使わないので電気代が安いでしょ?
需要がないところに供給しようとしても、モノは売れません。
電気も普通のモノと同じなのです。
電圧上昇抑制への対策をして売電しやすくする
それでも太陽光発電を始めちゃったら売電できないと困りますよね。
電圧上昇抑制への対策をすれば、ちょっとは売電しやすくなります。
どのような対策をするか
他の人の記事でも書かれますので詳しくは述べませんが、
簡単に言うと、売電するための電力を送電線に流すときの電圧を上限(107V)近くに設定したり、ケーブルを短くするようなことですね。
参考文献です↓
電圧上昇抑制への対策(東芝)
https://www.toshiba.co.jp/sis/h-solar/inc/pdf/voltage_01.pdf
近所みんなで太陽光発電をされることがデメリットになる
新しい住宅街だと、新築される家のほとんどが太陽光発電をするってことがあるかも知れません。
そうすると、みんなが電気を売りたいと思うはずです。
こうなると、みんなが売電のときの電圧を高い電圧に設定する競争になるんですね。
すると、余計に送電線の電圧が上がって、ますます電圧上昇抑制がかかりやすくなって売れなくなると予想されます。
近所で太陽光発電が盛んにされることは、自分にとって大変なデメリットです。
このへんのことは、ICHIさんの記事にもあります。
私がブログを始める前の、2010年の記事ですからね。こんなに前から考えられていたICHIさんはやっぱりすごいわ。
『近所の太陽光発電』と『我が家の電圧』との関係 – ICHIの水耕栽培 庭がなくても野菜作り トマト2株から8千個! – Yahoo!ブログ
【太陽光発電】電力会社に電話で聞きました【電圧上昇抑制】 – ICHIの水耕栽培 庭がなくても野菜作り トマト2株から8千個! – Yahoo!ブログ
近所で太陽光発電が増えることも、太陽光発電を導入する上でのリスクなることが分かりますよね。
太陽光発電でライバルに勝つ秘策はある??
近所で太陽光発電が増えると、太陽光発電をする他の家全てがライバルです。
これが大変。
ニコニコ挨拶しても、実は火花バチバチ、なんてことが日常になるかも知れません。
それでもライバルには勝ちたいと思うものです。
ライバルに勝つためには・・・
3相3線式200Vのパワーコンディショナーを設置すべし
100Vで連系するか、200Vで連系するかの差は実は大きい!
系統連系するルールは、電気事業法第26条、同施行規則第44条に規定されているそうです。
呼称電圧[V] 標準電圧[V]
100 101±6(95-107)
200 202±20(182-222)
つまり、100Vで連系するときには107Vが上限になりますが、200Vで連系すれば、222Vで連系できます。
222Vは100Vでの連携の111Vに相当しますので、107Vとの差は4V。
この4Vの差は大きいですよ。
電圧が高いほうが「勝ち」ですからね。
また、マニアックになりますが、電圧が高いほうがトランスまでの電圧降下を抑制できて有利です。
設置価格を考慮しなければ、200Vで連系できるパワーコンディショナーを設置すべきと断言できます。
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ソーラーパネルを少なくする余剰買取も考慮すべきか
最近では、10kW以上のソーラーパネルを載せて全量買い取りを狙うのが流行してますが、あえて余剰買取にするのも一案です。
余剰買取にすると、発電した分を自宅で使えるから。
電圧上昇抑制がかかる時間帯に、家庭内での消費電力を増やして無駄を少なくすることができます。
例えば、電圧上昇抑制がかかったときには、冷暖房を利用したり、エコキュートでお湯を沸かしたりして、なるべく発電した電気を使っちゃいます。
売電できずに捨てられるよりは「まし」と言えます。
(この記載には疑義があります。)
・・・と書いてましたが、とある方から電圧上昇抑制が掛かっても電気を使えるの??と質問を頂戴しました。
なるほど、確かにそうです。
電気を使うことで電圧上昇抑制が掛かりにくくはできると思いますが、実際に電圧上昇抑制がかかってしまうと、パワコンが機能を停止するのですから、余剰買取でも家庭内でも使用できない可能性が高いです。
余剰買取だと、電気を使うことで電圧上昇抑制が掛からない電圧に下げることができる、っていうメリットがかろうじてあるのかな。
(11/4追記)
電圧上昇抑制が頻発することが予想されるなら、以前のような小規模な太陽光発電にしてもいいのかも。
やっぱり大規模な太陽光発電設備を設置すると、割安にはなりますが総額は高価になりますし、その高価な設置費用を回収できないと被害が甚大です。
なので、ソーラーパネルを少なくしてリスクを軽減することも考えるべきかな。
最後に余談
先日、テレビボードの件で一条工務店の担当者に来ていただきました。
その一条の担当者と、太陽光の系統連系の保留についても話していましたが次のような話もしましたよ。
(1)最近の一条のお客さんは『家を建てるよりも発電所を作る』って人が割と多くいるよねー。
(2)それはそれでいいけど、太陽光のために家の形状や間取りを犠牲にしちゃうってどうなのよ(ってQは思う)。太陽光発電が縮小すると、家の形状や間取りを重視した元の家づくりに戻るでしょうね。
(3)キャリアの浅い営業さんは、仕事を始めてからずっと太陽光で売り込んでたから、これから大変じゃ。
こんな話で盛り上がりました。
電圧上昇抑制がもっと問題になってくると、たぶん、太陽光発電をする家が減ります。すると、今は太陽光を載せやすくしている屋根の形状ががらっと変わるんでしょうね。
将来は、屋根の形状を見て、「あの家は太陽光黄金時代に建てられた家だよ。だいたい2013~2015年築だね。」って会話が楽しめるようになるのかも。
でも、太陽光発電が維持されるように、制度とインフラを整えてもらえるのが一番いいですね。
太陽光でみんなが幸せになれるように期待しています。
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